今回は主格の関係代名詞について詳しく解説します。
【 主格の関係代名詞の部品その1】
テニスが好きな(一人の)少年
上記の日本語をこれから英語に直す手順を説明します。
上記の日本語は、修飾部分と被修飾語にわかれています。つまり、「テニスの好きな」という部分が「(一人の)少年」の内容を詳しく説明しています。
そこでまず、被修飾語=「(一人の)少年」をトップへ出してしまいます。すると、
一人の少年( )
上記のように、「一人の少年」が先頭に出るので、その直後に( )を置いて、直前の少年がどんな少年なのかを補足的に説明してやります。そうです。思い出しましたね。関係代名詞をわかりやすく解説~PART1 の「関係代名詞の前提知識その2」で紹介したあのテクニックをここで使うわけです。
ただし、( )の中は、必ず「~は・・・・・・・・・」というように完全な文の形で入れます。
つまり、
一人の少年 ( 彼はテニスが好きだ。)
という形に持ち込みます。コツは、上記のように、トップに出した「一人の少年」を適当な代名詞(=「彼」「彼女」「それ」など)に変えて、( )の中の最初に置いて、それに「は」をつけることです。
そうしたら、上記の日本語を( )がついた状態でそのまま英語に直します。すると、
a boy ( He likes tennis. )
上記のようになります。
ここで一つ覚えておいて欲しいことは、a boy のことを「先行詞」と呼ぶことです。日本語では一番最後に置かれていたのに、英語に直すときはトップに出るからこのように呼ぶわけです。
さて、今度は、先行詞(この場合は a boy)とイコールの関係に立つ言葉、言い換えると、先行詞と同一人物(または同一物)にあたる言葉を( )の中で探します。上記の場合は、a boy = He ですよね。そうしたら、先行詞とイコールの関係に立つ、この He が関係代名詞( =who )に変身して、あとは( )を外すだけです。すると、
a boy who likes tennis(テニスの好きな(一人の)少年)
となって、これで出来上がりです。この who は関係代名詞と呼ばれるもので、特にそれ自体には意味はありません。「直前の少年がどんな少年なのかをこれから説明しますよ」という注意喚起のために置かれる標識のようなものです。
これまでの手順全体をまとめて見ましょう。
テニスの好きな(一人の)少年
一人の少年 (彼はテニスが好きだ。 )
a boy ( He likes tennis. )
a boy who likes tennis
上のまとめを見ながら、ここでもう一つ覚えて欲しいことがあります。この who という関係代名詞のことを「主格の関係代名詞」と呼びます。なぜ、そのように呼ばれるかというと、この who は元々( )の中で "He"が変身したもので、この"He"は、前回の記事の「前提知識その1」で紹介した、主語、目的語、所有語のうちどれですか? 主語ですよね。このように( )の中で主語だったものが変身した関係代名詞のことを「主格の関係代名詞」と呼ぶわけです。
【 主格の関係代名詞の部品その2】
もう一つ別の例で説明します。
丘の上に建っている (その)家
被修飾語の 「その家」を次のようにトップに出します。
その家( それは丘の上に建っている。)
すると上のようになり、「その家」の直後に( )を置いて家を詳しく説明します。
the house ( It stands on the hill. )
上記のようにそのまま英語に直します。ここで、the house = It なので、この Itが which という関係代名詞に変身して、あとは( )を外すと、
the house which stands on the hill
となって完成です。
これもまとめて見ましょう。
丘の上に建っている (その)家
その家(それは丘の上に建っている)
the house ( It stands on the hill. )
the house which stands on the hill
部品その1では、先行詞が「少年 」=人だったので、who という関係代名詞を使いましたが、部品その2では、先行詞が「家」 = 人以外なので、which という関係代名詞を使います。そして、この which も、元々( )の中の "It" という主語が変身したものなので、主格の関係代名詞のなかまです。
【 主格の関係代名詞の部品その3】
フランス語を上手に話す(その)女性
その女性 ( 彼女はフランス語を上手に話す。)
the woman ( She speaks French well. )
the woman who speaks French well
【 主格の関係代名詞の部品その4】
歩くことができない(一匹の)犬
一匹の犬 ( それは歩くことができない。)
a dog ( It can't walk. )
a dog which can't walk
【 ここまでのまとめ 】
【 関係代名詞の完全英作文 】
さあ、ここからはいよいよ完全英作文の練習です。難しくないので頑張ってついてきてください。
(1) 主格の関係代名詞の部品その1を使って
トムはテニスの好きな(一人の)少年です。
上記の日本文を英文に直す手順を説明します。まず、ある部分を[ ]で囲みます。どこを囲むかというと、
[ これこれしかじかする名詞 ]
[ これこれしかじかな名詞 ]
[ これこれしかじかという名詞 ]
[ これこれしかじかの名詞 ]
という部分です。上の例なら、
トムは [ テニスの好きな(一人の)少年 ] です。
となります。これを英語に直すと、
Tom is [ テニスの好きな(一人の)少年 ].
となるはずです。あとは[ ]の中に、上の方で作った部品その1をそのまま代入するだけです。そうすると、
Tom is [ a boy who likes tennis ].
となるので、あとは[ ]を外して、
Tom is a boy who likes tennis. (トムはテニスの好きな(一人の)少年です。)
これで完成です。
(2)主格の関係代名詞の部品その2を使って
丘の上に建っている(その)家は私のものです。
[ 丘の上に建っている(その)家 ]は私のものです。
[ The house which stands on the hill ]is mine.
The house which stands on the hill is mine.
(3)主格の関係代名詞の部品その3を使って
フランス語を上手に話す(その)女性はこの町に住んでいる。
[ フランス語を上手に話す(その)女性 ]はこの町に住んでいる。
[ The woman who speaks French well ] lives in this town.
The woman who speaks French well lives in this town.
(4)主格の関係代名詞の部品その4を使って
私は歩くことができない(一匹の)犬を飼っている。
私は[ 歩くことができない(一匹の)犬 ]を飼っている。
I have [ a dog which can't walk ].
I have a dog which can't walk.
今回はここまでです。次回をお楽しみに。