高校受験用長文問題対策のためのブログで、英文解釈特訓の第14回です。やや難しめの英文を正確に解釈する練習をしましょう。
※まずは、辞書や参考書などを一切使わずに自力で設問を解いてください。次に辞書や参考書などを総動員して自分なりの完全解を作ってください。その後で当サイトによる解説や正解を読んで答え合わせをしてください。また、自分の解答は必ずノート等に実際に書くようにしてください。
【 設問 】
次の文章を和訳しなさい。
Some traditions seem simple at first, but they often have deep meanings behind them. In a small village, people still gather every spring to paint stones with patterns passed down for generations. It takes many years to fully understand the stories behind each design, as they are connected to the villagers' history. Many young people leave for the city without ever knowing what those patterns mean. In time, the old stories may fade, unless someone chooses to listen and learn.

【 第1文の解釈 】
Some traditions seem simple at first, but they often have deep meanings behind them.
出だしの some は主語についているので、「(中には)~もある」という訳し方になります(長文問題対策・英文解釈特訓~第12回参照)。
seem ( to be ) ~ = ~のように思える
He seems ( to be ) honest. (彼は誠実なようだ。)
at first = 最初は ↔ at last (最後には)
きちんと訳すと、「一見すると単純に思える伝統もあるが、その背景には深い意味があることも多い。」となります。
【 第2文の解釈 】
In a small village, people still gather every spring to paint stones with patterns passed down for generations.
still = まだ、今でも
gather = 集まる、集める
to paint は副詞的用法の不定詞ですが、①「目的」の用法なのか ②「結果」の用法なのか少し迷うところです。たとえば、
He studied hard to be a scientist. という文は、①「彼は科学者になるために一生懸命に勉強した。」とも訳せるし、②「彼は一生懸命に勉強して科学者になった。」とも訳せます。要は、文脈から主語に強い目的意識があるか否かで判断するしかありません。本問の第2文の場合、「石に模様を描こう」という強い目的意識が集まった人たち全員にあるかというと、必ずしもそうではなさそうなので、②の「結果」の用法と解釈しておきます(①の「目的」の用法と解釈しても間違いではないと思います)。
passed down for generations( 何世代も受け継がれてきた)は直前の patterns (模様)を後置修飾しています。つまり、passed は過去分詞の形容詞的用法。
きちんと訳すと、「ある小さな村では、今でも毎年春に人が集まって、何世代も受け継がれてきた模様を石に描く。」となります。
【 第3文の解釈 】
It takes many years to fully understand the stories behind each design, as they are connected to the villagers' history.
カンマよりも前の部分は入試頻出構文です。
It takes+(人)+時間+to不定詞 = (人が)~するのに時間がかかる
It took me three hours to write the long letter. (私がその長い手紙を書くのに3時間かかった。)
to不定詞の部分には、それ以外の表現が置かれることもあります。
It will take about five minutes from here to the station. (ここから駅まではおよそ5分かかるだろう。)
また、How long does it take to ~ ?(~するのにどれくらい時間がかかりますか。)という文も使いこなせるようにしておきましょう。
カンマのすぐ後の as については、その後ろに理由が置かれています( asのいろんな用法参照 )。
they = the stories behind each design(それぞれのデザインの背景にある物語)
be connected to ~ = ~とつながっている
第3文をきちんと訳すと、「それぞれのデザインの背景にある物語は、村人たちの歴史とつながっているので、それらの物語を完全に理解するのには何年もの年月がかかる。」となります。
【 第4文の解釈 】
Many young people leave for the city without ever knowing what those patterns mean.
without ~ ing = ~しないで、~せずに
He left the room without saying anything. (彼は何も言わずに部屋を出た。)
ever は、否定文(または否定の意味を含む語句)の中で「一度も」の意味。
I haven't ever been there. = I have never been there. (私は一度もそこへ行ったことがない。)
what は①間接疑問文の疑問詞とも理解できるし、②先行詞を含んだ関係代名詞とも理解できます。
Do you know what he said ?
を①と理解すれば、「彼が何を言ったか知っていますか。」という訳し方になり、②と理解すれば、「彼が言ったことを知っていますか。」という訳し方になります。ただ、いずれにしても意味の上で大きな違いはありませんし、少なくともネイティブの感覚としては両者を区別するという意識はありません。あくまでも文脈に合うように自然な訳出をすることが肝要です。
第4文をきちんと訳すと、「それらの模様が何を意味するのかついに知らないまま都会へ出る若者も多い。」となります。
【 第5文の解釈 】
In time, the old stories may fade, unless someone chooses to listen and learn.
in time =やがて、そのうち
may = かもしれない、だろう
fade = 消える、色あせる、衰える、しぼむ
unless ~ = ~しない限り
I'll be back unless I die. (死なない限り俺は戻ってくるよ。)
choose to ~ = ~することを選ぶ
第5文をきちんと訳すと、「誰かが耳を傾けて学ぼうとしない限り、やがて、その古い物語は忘れ去られてしまうだろう。」となります。
【 設問文の全訳=正解 】
一見すると単純に思える伝統もあるが、その背景には深い意味があることも多い。ある小さな村では、今でも毎年春に人が集まって、何世代も受け継がれてきた模様を石に描く。それぞれのデザインの背景にある物語は、村人たちの歴史とつながっているので、それらの物語を完全に理解するのには何年もの年月がかかる。それらの模様が何を意味するのかついに知らないまま都会へ出る若者も多い。誰かが耳を傾けて学ぼうとしない限り、やがて、その古い物語は忘れ去られてしまうだろう。