
関係代名詞の非制限[継続]用法について詳しく解説します。ただし、これは学校の指導要領外の知識で教科書には載っていないので、あくまでも難関私立高校入試向けの知識です。
【 はじめに 】
These are red flowers. (これは赤い花です。)
上記の文では、redという形容詞がflowersという名詞を修飾しています。これは別の見方をすると、redという形容詞がflowersの種類を制限[限定]していることになります。つまり、

上図のように、世界中にはいろんな「花」があるが、そのうち「赤い花」というとその種類がぐっと制限[限定]されるということ。このように、形容詞には名詞の種類を制限[限定]する作用があります。
以下に見るように関係代名詞にも同じような作用があります。
I have a brother who lives in Tokyo. (私には東京に住んでいる兄弟がいる。)
上記の文では、「東京に住んでいる」という部分が「兄弟」の種類を制限[限定]しています。つまり、「私には兄弟が何人かいる(かもしれない)が、そのうち、東京に住んでいる兄弟は一人だけだ」という内容になり、逆に言えば、上記の文では、「私には東京に住んでいない兄弟も、他にいる可能性がある」ことになるけです。こような関係代名詞の使い方を、制限[限定]用法といいます。
I have a brother , who lives in Tokyo. (私には兄弟が一人いて、彼は東京に住んでいる。)
ところが、上記の文では、関係代名詞whoの直前にカンマが置かれたことにより、そこで文が切断されています。その結果、「東京に住んでいる」という部分は「兄弟」の種類を制限[限定]しなくなり、単に、直前の「兄弟」がどんな兄弟なのかを後から補足的に説明しているだけになります。つまり、「私には兄弟が元々一人しかおらず、その兄弟が東京に住んでいる」という内容になります。このような関係代名詞の使い方を、非制限[継続]用法といいます。
【 非制限[継続]用法のポイント 】
◆関係代名詞の直前にカンマを置く。
◆とりあえず、カンマまで訳してそこで一休みする。
◆カンマの後の関係代名詞を普通の代名詞のように、「彼(ら)」「彼女(たち)」「それ(ら)」などと訳しながら、先行詞を後から補足的に説明するように訳す。
◆関係代名詞の省略や関係代名詞thatの使用はできない。
【 例文 】
In our class, there were few students who were able to answer the question. (私たちのクラスには、その問題が解けた生徒はほとんどいなかった。) …制限[限定]用法
In our class, there were few students, who were able to answer the question. (私たちのクラスには生徒がほとんどいなかったが、彼らはその問題が解けた。) …非制限[継続]用法
This ballpoint pen, which I like, was very expensive.(このボールペンは、気に入っているのだが、とても高かった。) …非制限[継続]用法
※上記文の先行詞は「このボールペン」であり、それ以上種類を制限できない。つまり、「私の好きなこのボールペン」以外に「私の好きでないこのボールペン」が同時に存在したらおかしいということ。このような場合には必然的に非制限[継続]用法となります。
My mother, whose father was a soldier, is from Kyowa. (母は軍人の娘で、共和出身だ。)…非制限[継続]用法
※上記文の先行詞は「母」であり、それ以上種類を制限できない。つまり、「父親が軍人である母」以外に「父親が軍人でない母」が同時に存在したらおかしい(再婚によって母親が二人いるという話なら別だが)ということ。この場合にも必然的に非制限[継続]用法となります。
Last week I met Mr. Smith, who asked me to give this to you. (先週スミス氏に会ったら、これを君に渡すように頼まれた。) …非制限[継続]用法
※上記文の先行詞は「スミス氏」という固有名詞である。制限[限定]用法の場合には固有名詞は先行詞になれない(PART9参照)が、非制限[継続]用法の場合には固有名詞も先行詞になれる。というより、固有名詞はそれ以上種類を制限できない(上の例でいうと、「先週私が会ったスミス氏」以外に「先週私が会わなかったスミス氏」が同時に存在したらおかしい)ので、ほぼ必然的に非制限[継続]用法となります。
That is Mt. Fuji, which is the highest mountain in Japan. (あれが富士山で、日本で一番高い山だ。) …非制限[継続]用法
※上記文の先行詞は「富士山」でこれも固有名詞であり、それ以上種類を制限できない(「日本で一番高い山である富士山」以外に「日本で二番目に高い山である富士山」が同時に存在したらおかしい)ので、ほぼ必然的に非制限[継続]用法となります。
He said he was forty years old, which was surprising to us. (彼は自分が40歳だと言ったので、私たちは驚いた。) …非制限[継続]用法
※上記文のwhichは、下線部全体を先行詞とする非制限[継続]用法です。このように、カンマより前の全部またはその一部を先行詞とする非制限[継続]用法があり、このような用法で使用される関係代名詞はwhichのみです。